サンプル

【サンプル】好きだろ、絶対。

 どうして、こうなった。 それはもう、錆兎が何百、何千回と繰り返した自問自答。 幼少期、男には〝好きな子〟と呼べる存在がいた。相手は幼稚園からの同級生で同じ小学校に通い、そして中学生となった際に錆兎の転校が決まって、それ以降は諸事情で交流も…

【サンプル】影法師を待つ泡

 洗濯機から異音がするようになり、一ヶ月。仕事の忙しさにかまけて放置していたところ、とうとう息を引き取った様子の物言わぬ四角い箱の前で錆兎は項垂れていた。 とは言えあの洗濯機も、一人暮らしを始めた大学生時代に購入した安価なものである。これを…

【サンプル】ちょっとそこまで待ち合わせ

 出会いは、中学の入学式。 講堂前で新入生たちが何列かに並ばされている中、近くにいた同じ小学校出身の者で固まって教師の指示を待っていると、グッと腕を引っ張られたのが最初。 突然のことに驚きながら振り向くと、そこには知らない黒髪の少年が一人。…

【サンプル】参っちまうよまったくもう

 大学生となってから始まった同棲生活。 二人が通う大学の、ちょうど中心部に位置する築三十年程のリノベーション済みマンション。お互い荷物も少なく、個室が欲しいと思うほどプライベートを重視する間柄でもなかったため、部屋数よりも立地と家賃重視で選…