​モモイロ

 少しずつ、少しずつ腰を進めた。うねった肉壷は待ちわびていた質量に歓喜し、早く早くと奥へと急かすように蠕動する。
「はっぁ、んっ……ぅ」
 瀬戸口が僅かに腰を揺すると、組み敷かれた少年は泣きそうな顔をしながら嬌声を堪えるため押し殺された声を上げた。
 だが、身体は声と違って我慢など出来るわけもなく。ヒクヒクと絶え間なく蠢く肉ヒダがすり寄るかの如くペニスへと絡み付き、褒美にと高く張ったカリ首で押し潰すように抉ってやれば変声期前の愛らしいボーイソプラノが艶めかしい喘ぎ声を奏でた。
 文句無しの名器である。雄を悦ばせるための性器に成り果てた、少しくすんだ桃色をした肛門は血管の浮き上がったグロテスクなペニスを頬張りながらも、時折僅かに出来た隙間からローションや腸液、互いのカウパー液が混ざった白濁の汁をゴプリと吐き出す。
 処女のような初々しく真新しい淡い色などしていないそこが酷く卑猥で、性とはかけ離れたような存在の速水の後孔が肉厚で縦に割れ、まるで女性器の大陰唇を彷彿とさせるような形状をしているのが堪らなかった。
 中途半端なところで挿入を中断し、指で後孔を左右に広げてみる。
 焦らされ続けた真っ赤な粘膜が、生き物のようにペニスに吸い付いているのが分かった。子種を欲しがる雌孔。少年の細腰は恥じらうように控え目に揺れている。ここまで雄の本能を擽るような身体をしているのに、反応はまるで生娘のようなところがあった。
「あっちゃんのおまんこ、相変わらず我慢できないね。そんなに奥に欲しい?」
 かぁ、と速水の顔が胸元まで赤くなった。瀬戸口は、情事中に速水にこうして意地悪をするのを楽しんでいる。
 理由など。恥ずかしそうな速水が可愛いから、それしかない。
「……っその、言い方、やだ」
「そのって? なに?」
 意地悪、と言いたそうに睨んでくるが蕩けた顔では瀬戸口にとって可愛いだけであることを、速水は分かっているはずもなく。
「……お、おま……ん、こ……とか……やだ」
 小さく愛らしい口から発せられる下品な言葉。
 しかしそうは言いつつも、“女性器”扱いをされた直腸は興奮したようにギュウギュウとペニスを締め付けて来るのだから説得力の欠片も何もない。
 女じゃないと言い張りながら、実質速水という少年は女のように扱われるのを屈辱的に思いながらも興奮してしまう質なのである。マゾ、というよりも本能的、と言えばいいのだろうか。
 触ると思った以上に柔らかく、指が沈み込む速水の乳房は二次性徴期を迎えた少女のようであるにも関わらず、皮を被ったままの控えめなペニスは子供のそれとしか言いようがない。脇の毛だって薄い産毛のようなのが疎らに程度で、陰毛に至ってはまだ生えてもいなかった。
 だのに、醸し出される色気や淫臭はとてもじゃないが、まだ幼さの残る少年が放っていいものではない。
 ちぐはぐ。
 それでも、瀬戸口の中ではこの少年こそが何よりも美しく見えた。
「あ、ぁああぁぁああっ!」
 腰を掴んで一気に挿入し、見開かれる美しい青い瞳に見とれる。
 弾力のある亀頭が、ついに奥を突いたかのように見えた。それでもまだ、既に人外のものへと形を変えつつある瀬戸口のペニスはまだ根元まで入りきってはいない。規格外のそれを、薄い腹の中へと強引に押し込んでいく。
 ペニスの形を丁寧に覚えさせながら少年の身体の隅々まで犯していく優越感。蕩けきった目をした少年の頭を撫でて、奥の奥にある肉の輪をコリコリと徐々に広げながら大きく張った亀頭が潜る。
 ずぷ、と音がした。
 瞬間、声にならない悲鳴を速水が上げたかと思うと、幾度と無く四肢を痙攣させて背を仰け反らせた。
 開発され、発情しきった結腸を突かれたことによる連続的な絶頂。ガクガクと震える速水を前に瀬戸口は休ませることなく布団に縫いつけ、事もあろうかそのまま律動を開始した。
「ひっ、ぐ、ぁあっぁああ……ああッ!
あ、やだ、やだぁっ! とまって、とまってぇ……あっあ、あんっぅう……! ひぁ、あっキちゃう、またイくのっ、ずっとイってるのにぃ……っ奥、やだぁ、おかひくな……っああああぁあっ」
「あー……すご。本当厚志のここ気持ちいいなぁ……熱くてキツくて、やらしくてトロットロ。イく度にギュウギュウしてさ、吸い付いてきて……ずっと挿れてたくなる」
 この身体の味を知ってしまえば、他なんて抱けなくなる。普通を装った仮面を付けていてもなお、誰もが振り返ってしまう愛らしい顔つきは純朴そのものだというのに。
 喉の奥で目の前の痴態に笑いながら、連続的にドライオーガズムを迎えている様子の愛おしい姫君の白く細い脚を持ち上げて肩に担ぐ。ズルズルと引き抜き、そして奥をノックするようにコンコンと突いてやれば速水の瞳からはどんどんハイライトが失われていき、開きっぱなしの口からは赤く濡れた熱い舌が顔を覗かせた。
 敏感になりすぎた菊門に、瀬戸口の陰毛が擦れてそれでさえ快楽に繋がってしまい、速水は「あ、あ」と意味のない喘ぎ声ばかりを吐き出す。
「厚志、まだトぶの早いよー?」
 一定のリズムで律動を続ける。腸壁をズルズルとまとわりつかせながら腰を引き、そして突き上げた。しなやかな弓のように仰け反る細い体。
 唾液や涙で濡れた顔は汚れても尚、可憐だった。意識は朦朧としているらしく、焦点の合わない目はどこか遠くの方を見ている。だが、ペニスを咥え込み、頬張るそこは蠢き続けていた。まるで雄を奉仕するかのように、媚びを売り、すり寄るかのように。
 速水の意志とは関係なく、そこは別の生き物のように瀬戸口の子種をねだる。
 嬌声を上げる小さな口、そこから見える舌を絡め取るように腰を押しつけたままキスをして、次は短い間隔で結腸を広げていく。速水は眉を八の字に寄せつつ、大好きなキスを施されたことによる喜びにうっとりと恍惚の表情を浮かべた。
 小さな舌を懸命に動かし、ちゅっちゅと絡まってきた瀬戸口の舌を吸う。
 毎日のように抱いていても、この結腸ばかりは頑なであった。瀬戸口の進入を拒み、今でも肉の輪がギュウギュウと子宮口を彷彿させる動きで亀頭を締め付ける。
 気持ちよくて腰が溶けそうだ。
 菊門の括約筋が吸いつくように根本を締め付けてきては、ねっとりと濡れた直腸がまるで意志があるかのように絶妙な蠕動をし、中にある大きめな幾つかのヒダがコリコリとペニスを余すとこなく楽しませてくるのだ。
 興奮によって単調なピストンから一転、背中側でなく、腹部の方を重点的に擦ってやる。すると速水の無意識下で、腸壁が雌の悦びを得ていることを伝えてくるようにペニスに吸い付いて、目の前の少年は連続的な小さなオーガズムに加えて再び大きな絶頂を迎えることとなった。
 飢えたような動きで精汁を搾り取らんとする後孔。ああ、もうここは膣だ。子を孕みたくて仕方がないと、種をくれと懇願している雌だ。
 目の焦点などとっくに合っておらず、快楽によって蕩けてしまった。されるがままの舌を絡まされ、口内まで犯されている速水は脱力したまま腰を自ら押し付けるようにして更なる快楽を求めるのが精一杯らしい。
 速水の腕よりも太い、人外の形状となった凶悪的なペニスを頬張る菊門は皺一つ無くポッカリと広げられ、無遠慮に突き上げられ広げられている結腸は徐々に拒むような動きを止めつつあった。それは纏わりつくように、頬擦りをするかのような媚びる動きに変わり、ペニスにより甘美な刺激を与えようとする健気なものとなる。
 頬を撫でて、唾液を注いでキスを終える。うっとりとした顔の速水が瀬戸口を見上げた。
「可愛い、厚志」
 興奮しきった雄の顔で見下ろされ、掠れた声でそんなことを言われてしまえば速水の下腹部がキュンとしてしまう。
 あるはずのない子宮が疼く感覚。
 瀬戸口のことしか考えられなくなり、好きで好きで堪らなくなってしまうのだった。もっと気持ちよくなって欲しい、もっと愛して欲しい、もっともっと。
 速水は投げ出していた腕を瀬戸口の首へと回し、自ら子供のようなキスをして唾液で濡れた瀬戸口の唇を舐めた。
「……たかゆき………すき、すきぃ……」
 たどたどしい、幼い口調。恥ずかしがり屋な速水の方からはあまり聞くことのない告白に、瀬戸口は目を細める。
「俺も好きだよ。世界よりも厚志が大事。……愛してるよ」
 ちゅ、ちゅっと愛らしいキスに答えてやったあとに律動を緩め、包み込むような深いキスを施す。瀬戸口の愛の言葉とキスによって、速水は奥を突かれてないにも関わらず小さな絶頂に呑まれたことを示すように、あれほど頑なだった結腸が次は自ら瀬戸口のペニスに吸い付き始めた。ポルチオの如くぱくん、と先を咥えてちゅうちゅうと吸い上げながら、直腸の蠕動運動によってひり出すようにペニスの竿部分を擦り上げ、ねっとりとした肉壁で扱きつつ程良い力加減で揉んでくる。
 大きなペニスが収まっているであろう僅かに膨らんだ腹部。その下ではいやらしく、健気な奉仕が行われていた。
 突き出した舌同士を擦り付け合いながら、もはやキスとも言えない粘膜の触れ合いを楽しみ、小さく揺すり続けていた腰で再度激しいピストンを開始すると速水は譫言のように「きもちいい」と繰り返す。
 そろそろ限界が近く、一層張り詰めた瀬戸口の人外的なペニスはくっきりと血管を浮き立たせ、より凶悪な形へと変貌していった。
 捲れ上がった真っ赤に熟れた腸壁を露わにさせ、目の前の雄に服従させられる悦楽に脳が犯されている。弾力を持った大きな亀頭でノックされ、高いカリで肉壁を削ぐようにヒダを擦られ、もはやセックスのことしか考えられない。ラボで施される行為は苦痛が伴ったというのに、瀬戸口との行為では気持ちが良すぎて逆に怖くなるほどであった。
 日本人離れした、端正な彫りの深い瀬戸口の容姿が速水の後孔から与えられる刺激に僅かに眉間に皺を寄せ、呻く。
 ゴリゴリと結腸のその先まで蹂躙され、快楽によって滲んだ涙で視界はぼやけ、ハイライトは消え失せていた。それでも満たされる狂おしいまでの幸福感に速水は口元に笑みを浮かべると瀬戸口の耳に唇を寄せる。
 熱い吐息。口を開いて喘ぎ続け、速水の嚥下出来ずに口腔に溜まる多量分泌された唾液が瀬戸口の耳元でくちゅっと濡れた音を立てる。
「あっ、ぅっ……中にぃ……っふ、っう、だして……はぁ……っ俺の……おまんこに、種付け、ぁ……っして……おねが、ああっ……種付け、してぇ……ッ」
 あれほど女性器ではないと否定しておいて、今度は自らアナルをペニスに押しつけて性器であることを認め、子種をねだる乱れっぷり。
 瀬戸口は速水の体に上から覆い被さったまま、そのままプレスするかのように速水の身動きを封じて「いいよ」と興奮した音色で優しく甘く、声をかけた。
 刹那、半固形状のドロッとした熱い精汁が長大な異形のペニスから吐き出される。それは何度かに分けて吐精されると、次にトロリとした液状の精液が大量に注ぎ込まれ、腹の中で異なった二種のそれが熱を持って混ざり、子を宿そうと蠢くのを速水は確かに感じた。未だ射精を続けるペニスに犯されきった結腸は最後の一滴まで絞り取ろうと躍起になり、上からプレスされ一寸の身動きも許されない速水は精液の熱さに脳が溶かされる感覚に陥った。
 勃起さえしておらず、白い皮を被ったままの幼い速水の性器の先端では淡い色の亀頭が顔を出している。尿道から透明のカウパー液を滴らせ、熱が灯った。ジクジクとそこは痺れ、何かがせり上がる感覚。
「あれ」
 上半身を起こして漸く速水を解放した、瀬戸口の楽しそうな声。
 鼻孔を擽る、独特でありながら卑猥な臭い。シーツに広がるやや黄ばんだ液体は、今もなお速水のペニスから溢れ続けている。
「おしっこするくらい感じちゃったの?」
 そうは問われても、今や放心状態にある速水には何も聞こえていない様子であった。ただ、子種を流し込まれたことによって失禁してしまったのは事実である。
 前戯の際に弄られすぎて真っ赤に腫れてしまった、ぽってりと大きめな乳首が乗る少女のような胸を上下させながら大きく息を乱しているのが色っぽい。
 汗で首筋に張り付いている短い髪も、射精したにも関わらず、未だ勃起したままのペニスを離さない膨れた腹も。全てが扇情的でいやらしく、愛らしい。
「ぁ……ん、ぅう……」
「あっちゃんお漏らし癖ついちゃったねぇ」
 誘っているような肥大した乳首を指で挟み、上下に扱いてやると胸を突き出してくる。瀬戸口は片方の乳首に吸い付くと舌で転がしつつ、ぐしょぐしょに濡れたシーツの上で再び速水を抱え直し、ペニスを抜きもしないまま立派な蜜壷となった後孔への刺激を再開した。
 中出しされた精液がかき混ぜられ、ぱちゅぱちゅと濡れた音の中に速水の「あっ、あ……っ」と意味などない喘ぎ声が混ざる。

「お腹いっぱいにしてやるからな」

 乳輪ごと乳首に吸い付かれたあと、少し膨れた下腹を撫でられた速水は蕩けきった顔をして、微笑みを浮かべながら深く頷いた。